弦楽四重奏で演奏家を求めるとき、まずアルバン・ベルクから出ているかどうかを探します。
室内楽をそれほど聴かない身としてはアルバン・ベルク弦楽四重奏団(ABQ)はともかくこの分野における灯台、道標、ジブラルタル・ロックなのです。
この録音でもやってくれますね。特にオーストリアの作曲家ではABQはダントツの強みを果たします。緩急自在、体に入っている音楽の質がよいのです。透明感のある音はどのような会場で録音されたはわかりませんが、ちょっと寒いけれど仕事をするにはちょうど良い部屋での音の透明感を感じさせます。
ハイドンのこの三曲の弦楽四重奏はともかく有名です。エルデーディ・セットから三曲ですが、独特のオーストリア歌謡が端々に歌いこまれた、本当に懐かしい音楽群です。
五度の第3楽章はどこか困った短調で、こういうものを書かせたらハイドンは超一流です。カノン風に展開して短いですが、これはこれで一曲、という感じがします。
皇帝はあまりにも有名ですが、丁寧な線の描き方で驚かされます。
それは日の出にもいえるものです。この見事なソナタ第1楽章は楽曲の線が厳しく問われる楽曲ですが、まさに見事の一言に尽きます。
いいですよ、本当に。喜びというものが自然に感じられる演奏です。
日の出の導入から主部に展開する様子は伸びのあるヴァイオリンが聴き所です。
気持ちが休まらないとき、どこか後ろ向きになるとき、ちょっと困ったとき、この作品群は、力を貸してくれるものです。ありがとうございます。