イタリア弦楽四重奏団のしなやかで明るい音色と流麗な表現が面目躍如たる演奏。ハイドンが弦楽四重奏曲において試みた喜遊性と芸術性の統合が彼らの演奏によって理想的に実現されている。例えば『五度』のような短調で書かれた曲でもその表現の明るさは際立っているし、自然体で屈託の無いカンタービレが独特の軽やかさで聴き手に幸福感をもたらしてくれる。また『ひばり』では澄み切った青空を髣髴とさせるすがすがしい透明感が印象的だ。
彼らは1945年結成以来1980年の解散までモーツァルト、ベートーヴェンそしてブラームスの弦楽四重奏曲全曲録音を中心に数多くの名演奏を残したが、取り組む曲に対する柔軟なアプローチと鍛え上げられたアンサンブル、そして開放感と歌心に溢れた表現が彼らの信条と言える。この曲集では第2楽章でことのほか美しいヴァリエーションが繰り広げられる『皇帝』と更に偽作の『セレナード』(ホフシュテッター作曲)を含めた4曲が収められている。ちなみに『皇帝』のみが1976年でその他は1965年の録音だが音質は瑞々しく極めて良好。