書名に「捜査実務」とあるとおり、実際に捜査が行われる際の流れや目配り、そして注意点などに主眼が置かれているように見える。
ざっと読んで「感じること」は、大きく2点
・何も知らない実務畑の人たちが、実際に捜査現場で取る行動
・その行動を取られたら捜査された側がどういう影響を受けるか
システムを動かす立場の人が読めば、「捜査実務に協力」しつつ、自らのシステム運用をいかにして停止させないか?というあたりのさじ加減をはかるための手がかりになるのではないか。
特に「第3章 サーバの捜査」〜「第4章 電子ファイルの押収」あたりで捜査実務の流れが順を追って解説されているので、善良な市民はその流れを妨げることなく、何を提供すればよいか?というのをインシデント対応の一環として作業の流れに組み入れるための検討材料になるはずだ。
また、いわゆるワーム/ウィルスに関する捜査体制についても後の章で言及されているが、実務畑を知る人が書いただけあって「やったら捕まる(やったやつは捕まえる)」感がひしひし伝わってくる。
最後になるが、この本を技術的なエビデンスとしてこの本を使おうなどとは「間違っても」思ってはいけない。再掲するが、この本は、捜査畑の人がどんな行動をしてどういうモノを相手にするか?そしてどういう人を舞台に立たせるか?を流れとして書いてある本であり、大なり小なりこの流れに沿って捜査がなされると想定される。であれば、その流れをきちんと読んで、少なくとも舞台の主役にならぬよう、せいぜい舞台を引き立てる小道具(証拠などなど)を提供するに踏みとどまり、自分のビジネスや活動を止めないようにしておくのが、善良な市民としてあるべき姿であろう。そういう目的ならば、本書は充分にあなたの活動を助けてくれるはずだ。