ハイエクの基本的考えは,各個人の天性・性向の発現こそ最も尊敬されるべきであり,その自由な行動が経済的繁栄の原動力となるという,徹底した自由主義,市場重視にある。そうした考えから,当時欧州を覆ったファシズムだけでなく,社会主義政策も経済の統制を図る点で同根と批判した。
今日に適用すれば 課税による所得再分配や福祉国家制度も社会主義的政策であり,人間の自由,経済発展を損なうものとして否定される。現代日本において行政改革,規制緩和,税制,社会保障改革など構造改革のあり方を考える際,ハイエクのラディカルな思想は改革推進派の1つの後ろ盾となろう。
著者も指摘するハイエクのもう1つの特徴は,徹底した自由主義だけでなく,自由主義から離反する危険を警告した点にある。人間には一面で計画化を望む本性があり,自由主義経済で要求が満たされないと,逆にそれをのろうようになる。そこに高まいな理想を掲げた少数者による支配が忍び寄る。
原著によらず,警世の書ともいえる『隷属への道』のエッセンスを世に紹介することに本書の意義がある。 (日本経済研究センター 研究開発部長 金子 雄一)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)
登録情報
|
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|