マーケットプレイスでは普通の人には手が出しにくい価格になってしまっていますが(2012年1月現在)、このような状況は、福島原発事故を経験した今こそ、このコンサート、この作品のメッセージが日本にとって切実かつ重要な意味を持つことを考えると、残念なことです。今こそ、この国内版CD(正確には輸入版国内仕様HDCD)が再発されるべきときではないでしょうか。
原発反対運動というと、既に社会に広がってしまった原子力体制に反旗を翻して戦わなくてはならない厄介なイメージがあったことも否めませんが、このCDはそんな予想に反して、アメリカ西海岸のいわゆるウェストコースト・ミュージックの、あっけらかんとした明るさ、軽快さに溢れています。そして、1970年代〜1990年代あたりの洋楽ポップス界・ロック界にある程度親しんだ人であれば、少なくとも名前ぐらいは必ず耳にするような超有名アーティストがずらりと参加しているのです。あのドゥービー・ブラザーズが、そして、あのブルース・スプリングスティーンが、、、。再発しない理由があるでしょうか?
ブックレットに関して言えば、LPとCDでは、時代状況を受けて内容が若干違うようです。国内版LPには、オリジナルのブックレットの和訳のほか国内版独自の解説や歌詞、原子力・公害問題・ロックの歴史に関する年表がついています。記述はスリーマイル島事故前後の状況を受けたものが中心です。国内版CDでは、先の年表等はなくなっているようですが、若干の独自解説と歌詞、チェルノブイリ事故を受けて書き加えられたオリジナルのブックレットの和訳に。日本の音楽業界は、今、福島原発事故を受けた独自の解説を付してこのCDを再発することもできるはずです(たとえば、この原子力の問題に積極的に取り組んでいる坂本龍一氏らのメッセージを添えるとか)。
2012年1月現在、日本の多くの原発は既にとまっています。それでも、火力発電所等が頑張っているために、電力は無事にまかなわれています。数ヵ月後には、日本の原発は定期点検も含めて全機が停止するとも言われています。そのまま廃炉にすれば、脱原発は実現します。しかし、大新聞の新年の社説は原発再稼動を主張し(読売新聞2012年1月1日朝刊)、菅直人元首相が特に地震の際の危険性が高いと判断して在任中に停止させた静岡・浜岡原発についても再稼動論が浮上しています。もし、万が一にも東海大地震が来て、浜岡がメルトダウンしたら、首都圏にも住んでいられなくなるかもしれないのに。。。