原題"No Country for Old Men"。怖い。
七三分けマッシュルームカットの殺し屋は選択と決断を基にした不思議なルールに従って出会う人々を殺す(もしくは殺さない)。
彼の顔を見たら人生の全てをコイントスに賭け、表か裏を選択しなければならない。
彼の選択を信じない依頼人も仲間も殺す。
"What's the most you ever lost on a coin toss?""Call it, freiend-O"。
殺し屋のルールを見極めようとするうちに登場人物の多くは死に映画も終るが、殺し屋のどこかに一貫したルールやモラルがあると悩むこと自体が、本作でトミー・リー・ジョーンズが体現している、犯罪にはそれなりの理解できる理由があるとする"Old Men"のパラダイムの悩みでしかない。
この殺し屋はマクガフィンであり中身がない記号だ。舞台となった80年以降の純化され自己目的化した暴力そのものの表象である。
原因や理由は必要とされない。最後は金を奪い返すための殺しでもない。音楽はなく映像がソリッドで120分一気に過ぎる描写はさすが。とにかく怖い。