2010年5月号をもって休刊した「ADLIB」誌に連載されていた角松敏生のインタビュー集第2弾。第2弾の予定は元々あったのでしょうが、Vol.1のあとがきで「2も近日発売」と明記されてなかったけど、まずは良かったよかった。ファンにとってはご同慶の至りです。オジさんも遅まきながら電子書籍というジャンルに慣れてきて、今はスマホで読むようになりました。進歩進歩。今回は前書きに替えて角松氏の動画メッセージを収録してますが、もしそれが値段に反映しているとしたら、メディアの利点と言うのは判るけれどちょっとだけフクザツです。ちょっとだけ。
とは言え、インタビュアーが登場しない(談)形式コラムの良い所は、お気に入りのラジオ番組を聞いているような気持ちになれるところ。この「ノー・エンド・トーク」はそんなリラックス感がたっぷりと味わえます。今回も角松氏の森羅万象トークは健在。思わず「へーっ」と声に出してしまいそうな曲作りの裏話、ファンならずとも「あるある」と思う体験話、後からあとから湧き出す話題にページをめくる、もとい、フリックするのももどかしく読み進めてしまいます。浮世離れした話題ではなく、身近な出来事、誰にでもありそうな日常からひょいと拾いあげたような話一つひとつが面白い。スタートレックDVD大人買いの話は「あ、いーなぁ」と羨望半ばで読ませて頂きました。あーあ、いーなぁ。ま、とにかく。コラムを読んでからお気に入りのあの曲を聴くと、今までとは違った感慨が迫ってくるかもしれません。
連載回数98回、Vol.2で残り48本というのが「いかにも中途半端」という編者の心残りから2話分の「語りおろし」が追加された今回、そのお題の一つは「震災」でした。これには阪神淡路大震災直後には現地をお見舞いに訪れたという彼ならではの思いが述べられていて、ここに私は角松敏生というアーティストの気骨を感じます。紅白歌合戦の後に読んだので、なおさら考えさせられるテーマでした。この一編だけでも多くの人が読んでくれたらと思います。