2007年度のアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞を受賞。他にも海外の雑誌やサイトの「この10年で最高の映画XX本」みたいな企画で常に上位に来る映画。
評者の個人的な意見では2000年代最高の映画だと思う。
原作は現代アメリカ文学の巨匠コーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」。(原題は映画の原題と同じく「NO COUNTRY FOR OLD MEN」。)
ただ原作どおりに映画にしたのではなく、何点か原作から改変が行われている。例えば、
・原作ではカーソンが(映画よりは多少)活躍している。
・原作ではシガーが金をマフィアに返している。
・原作ではベルがシガーの事故を目撃した少年を尋問する下りがある。
いずれも原作のテーマを2時間の映画の枠に収めるために必要な改変であり、プロットが整理されたことで映画としての緊張感が高まっている。アカデミー賞脚色賞のゆえんだと思うが、特に目立つのはシガーが原作よりもっと人間味のない暴力の化身として描かれていることである。
西部アメリカ―メキシコの息をのむほど美しく雄大な大地のもとで繰り広げられる人間の愚行。
マッカーシーの多くの作品に共通したテーマであるが、それが見事にスクリーン上で表現されている。
ブルーレイで見ると映像美が一層素晴らしい。
なお、本作をご覧になってマッカーシーの小説に興味をもたれた方には本作の原作よりもハヤカワepi文庫刊の「越境」をお勧めする。