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ノヴム・オルガヌム―新機関 (岩波文庫 青 617-2)
 
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ノヴム・オルガヌム―新機関 (岩波文庫 青 617-2) [文庫]

ベーコン , 桂 寿一
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 253ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1978/6/16)
  • ISBN-10: 4003361725
  • ISBN-13: 978-4003361726
  • 発売日: 1978/6/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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 自然科学の確立時期に居合わせた著者、フランシス・ベーコン(1561-1626)は、中世アリストテレス論理学関係の研究―これを「オルガヌム」という―の、「乗り越え」を目指し、本書『新機関(ノヴム・オルガヌム)』を、その解答として世に問うた。本書は、こういった成り立ちを持つものである。

 本書の内容に触れる前に、まぎらわしい点を一つ、取り除いておきたい。ベーコンという苗字の哲学者は、もう一人いる。それは、ロジャー・ベーコン(1214?-1292?)である。困ったことに、フランシスコ修道会にかかわりを持ち、思想内容も近世自然科学を思わせるものを含んでいる。こちらとお間違えのないように。

 さて本書は、「当時の学問すべてを革新しよう」という遠大な目標の下に構想されたものである。しかし著者が多忙であったことにもよるのだろう、完結とはならなかった。しかし、これが内容を削ぐことにはならず、むしろ「生かした」ように思われる。その理由は、本書の大部分が、読みやすくしかも切れ味の鋭い「アフォリズム」つまり「警句・箴言(しんげん)」形式によって書かれているからだ。現代の視点で本書をひも解いてみても、古いことに惑わされるよりはむしろ、教えられることのほうが多い位である。

 本書の意義は、少なくとも二つある。一つは「近代科学の根幹」である「観察と実験」にまつわるものであり、もう一つは、「イドラ」と著者の称するバイアス(偏見)についてである。しかし、それらを下支えする「現実との関わり方」という点が、小生、さらに重要と思われる。この点は、科学・社会・思想分野の「検証」的作品の前付け(本文の前に書かれている部分)に、アフォリズムから、しばしば引用されているということが、よく物語っているのではないだろうか。
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ベーコンは、彼の考えを、アフォリズムという短い文章を積み重ねる形式で表した。これは、論理を積み重ねていく、という思考形式自体を批判していることによる。
ベーコンは、人間は、自分が直接観察あるいは経験したことだけを知ることができるとして、演繹法的な思考を批判した。
彼は、人間の論理展開は勿論、人間の直接の感覚自体にも、批判的な見解を述べている。これは、後のヒュームにも通じる、イギリスに特有の、人間という存在に対する、基本的な懐疑が現れている。
こうした思想からは、狂信的な思想は決して生まれない。
ベーコンは、単に思考形式の問題だけではなく、批判的な見方を許さない、キリスト教の影響が強かった当時の風潮も批判している。
彼がこの書で明らかにした、いわゆる4つのイドラ、すなわち、人間の本性、個人、社会生活、論証の誤った諸規則、のそれぞれによる偏見、という問題は、今日でも当てはまる。
これまでの考え方やものの見方が、限界を迎えつつある現代の日本において、もういちど、目の前の現実を、一から見直してみるために、この書は、もっと読まれていい本だと思う。
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12 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 先哲の知恵の中から、レビューア自身の理解と解釈により再構成したものと、一つご紹介いたします。本書に出会うための一つのきっかけにしていただけたらと思います。

【われわれの心をとらえてしまいやすい間違った考え:種族のイドラ、洞窟のイドラ、市場のイドラ、劇場のイドラ】

 人間について、社会について、またこの自然や宇宙について、これらを支配している法則や本当の姿を知ることは、あなたに大きな力を与えてくれるだろう。

 そのためには、私たちの心をとらえてしまっている間違った考えの典型的なものを覚えておいて、それにとらわれてしまわないように注意しなければならない。この考えは実に根深いものがあり、つねに注意してかからないと本当の知識を得ることは、できなくなるだろう。

(1)人類という種族ゆえの間違った考え(種族のイドラ)

 あなたが人間であるということから来る、間違った考えというものがある。人間の感覚がすべてをとらえられるわけではない。

(2)環境や教育の違いによる個人ごとの間違った考え(洞窟のイドラ)

 あなたは、あなた独自の育ちというものを持っている。その考えは、ただ単にあなたの考えに過ぎないのではないのか。このように、疑ってみること。

(3)ことばや社会生活によって作られる間違った考え(市場のイドラ)

 間違ったことばは、まったく驚くべきしかたで知性の妨げをする。その考えはただ単に、ことばによってでっち上げられたものではないのか。このように、疑ってみること。

(4)今までの「哲学」という間違った考え(劇場のイドラ)

 今までの「哲学」あるいは「諸学問」のあるものは、それが一見して壮大な体系を持ち、またもっともらしく見えたとしても、大げさに演じられてきた架空の芝居に過ぎなかったのではないだろうか。

(フランシス・ベーコン(1561-1626))
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