遥か未来社会。資源や新しい共同体の確立を求めて、宇宙へと乗り出した人々の利権をめぐっての各組織の対立の歴史があり、「イリュリオン」を廻る経済の輪に支配されている。人々はプラグとソケットを身体に付け、サイコラマを使ってニュースを感覚で共有する。繋がれた相互文化と人間。この経済の流動性の為に均一化された人間が固有文化の退廃に繋がっているという隠喩。「思考の枠組みの固定化」
「問題は確固として文化的基礎が失われているせいなんだ。世界から世界への移動がこれだけ激しくては・・ただ擬似星系的な・・」(文中より)。
一方では「記録機」を使い小説の構想を練るカティンと「感覚」シリンクスを奏でるマウスの対比。それぞれの現実認識。フェニックス「不死鳥」の博物館での描写やタロットカードを通して現在と過去を見つめ人間性の変化、現実と理想の狭間、社会の渦の中で「目的」「習慣」「無意識」の三位それぞれが真理を模索する。運命の神はどこにいる?「ノヴァ」とは物理的な爆発でもあり、人間の五感を経た暗闇での光を感じる内的感覚「頭の中の太陽」でもある。宇宙船「オルガ」のイリュリオンを元に他力を利用し、人体に繋がれて推進し操縦する模様は人間の行動を促す衝動、関係によって生まれるオルガズムであり、五感の感受が衝動であり、知覚が舵を取る。知覚が内側に向かう狂騒。時に麻薬の快楽。そしてただ個人のオナニズムだけで無く人類の歩む道。「精神と肉体」の二極を繋ぐ物は何だ?
世界を彩る「色」がある。色は混ざり合い変化する。勝者と敗者、あらゆる区別の意識。彼らの瞳は青や黒。それは社会性と精神性。赤は血であり生命。それは情熱と衝動。銀は力。義手は憎悪。金髪は権勢欲。紫は過去の光。白と黒の対比、そしてもう一つ。全ては今を生きる人間と大地の彩り。近すぎて見えなくもなれば、遠すぎて見えない時もある。
「内側へ向かうにつれ探険家はバランス感覚を取り戻した、笑顔は真ん中の世界を見つけて曇り、彼はこれを冥府と名付けた」(文中より)。
「ノヴァ」とは五感の煌き。人間の精神が肉体という器で奏でる脈動。それは生命の輝き。終わりの無い蛇竜の道。この世はまだ天国では無い。空に舞う鳥。腕に纏わり付く羽毛。しかし、いつの世も人は極彩色の虚栄の篝火の中で、手に取ると淡く消え失せてしまう、それぞれの青い鳥を探し続けているのである。