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「ただ一つの心遣りは、帰つてこなくなったノラと違つて、してやり度いだけの事はみんなしてやつた。クルがしたがつた事はみなさせてやつた。」
この一節を読むだけでも、作者がどんなに真剣な愛情を注いだか想像できると思います。
「ノラや」「クルや」と呼びかける作者の声が聞こえてくる一冊。
解説で引用された手紙も心温まるもので、ノラ失踪時、百鬼園先生のそばにいた人の語るエピソードも含め、最後の1ページまでよかった。旧仮名使いが、やはり合う。
百鬼園先生の人となりを味わう良著である。就寝前に読むと優しい気持ちになれる1冊。
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