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ノラや―内田百けん集成〈9〉  ちくま文庫
 
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ノラや―内田百けん集成〈9〉 ちくま文庫 [文庫]

内田 百けん
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『猫は煙を気にする様である。消えて行く煙の行方をノラは一心に見つめている。…「こら、ノラ、猫の癖して何を思索するか」「ニャア」と返事をしてこっちを向いた。ノラはこの頃返事をする。』(「ノラや」より)。百〓@6BE1@宅に入りこみ、ふいに戻らなくなったノラ。愛猫の行方を案じ嘆き続ける「ノラや」を始めとして、猫の話ばかりを集めた二十二篇。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

内田 百〓@6BE1@
1889‐1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。1967年、芸術院会員推薦を辞退。酒、琴、汽車、猫などを愛した。本名、内田栄造。別号、百鬼園(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 325ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2003/06)
  • ISBN-10: 4480037691
  • ISBN-13: 978-4480037695
  • 発売日: 2003/06
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 とにかくノラとクルツ、この2匹の猫に対する愛情と悲しみが溢れに溢れている随筆集です。

 ある日ふらっと百先生の庭に現れた野良猫のノラ、百先生はこのノラを我が子のごとくかわいがりますが、ある日ノラはフッといなくなってしまいます。それからというもの百先生は死に物狂いでノラを探し始めます。その探し方と探している間の百先生の悲しみ方には、もはや単なる愛情や愛着という言葉を越えて、ある種の執着とでもいい得るような鬼気迫るものを感じます。
 この『ノラや』に収録されている猫探しの場面は、黒澤明監督の遺作になった『まあだだよ』の中でも描かれているのですが、映画の中での百先生は単なるかわいいおじいちゃんになってしまっていて、この随筆から読み取れるような愛情に裏打ちされた迫力のようなものが伝わってきません。

 百先生の凄まじい愛情と黒澤映画とは一味違う百先生を見てみたい方にはお勧めの一冊です!

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By Dolly the Cat トップ50レビュアー
形式:文庫
 「三月二十七日の昼間、木賊の繁みを抜けてどこかへ行ってしまった」ノラ。幾度となく繰り返されるこのフレーズを読んでいるうちに、自分までノラの後ろ姿を見たような気持ちにさせられる。百けん先生は自分の書いたノラの原稿が読めず、校正もしないで発表したというのだから、その悲嘆ぶりとともに、この文人のすごさに驚かされる。
 今風に言うなら、ノラ失踪時六十八歳の百けん先生は、深刻なペットロス症候群にかかってしまったのだろう。総計二万枚に及ぶという手製の迷い猫広告など、一歩間違えば笑い話になりそうな場面も多いのに、百けん先生の慟哭がはっきりと聞こえてくるようだ。
 一方で、後釜に落ち着いたクルは、鰈の切り身、平目のお刺身、シュークリームと、とんでもなくよいものを食べていた! クルが興味を示さない魚を、老夫婦が調理し直して食べる場面にも、小さな動物を愛さずにいられない人間の性みたいなものが表れていて、涙を誘われる…… 。
 静かで丁寧な暮らしぶり。よく働き、親切でおおどかな人々もいれば、迷い猫広告にある謝礼金ほしさに電話してくる怪しい人間もいる。そして、文筆家は高徳の教養人として尊敬されていた…… 。昭和三十年代から四十
年代にかけての日本。さほど昔でもないのに、この国にもよい時代があったのだなあ、としみじみ思わされる。
 最晩年のエッセイには、ノラ失踪後十年以上たっても、何か心にひっかかるときや割り切れないとき、思わず「ノラや」という言葉が出てくる、と書かれている。そして、そのエッセイは「何が割り切れないか、何が引っかかるのか、そんな事は、あんたさん、秘密だよ。」と結ばれるのだ。御年七十九歳にしてこのセンス! 日本には本当にスゴイ文章家がいたのだなあ。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
内田百間先生の愛猫、ノラの記録である「ノラや」を中心に猫にまつわる随筆がまとめられています。黒澤明監督の映画「まあだだよ」にもノラのエピソードがあるので既知の方も多い作品だと思います。

この集成には、百間先生がノラに出会う前の作品も収録されていて、とてもよい構成です。個人的には、勝新太郎について語るくだりがいつまでも忘れられません。
(※けんの字が変換できないので間の字を代用しました。)

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