本書は、1934年に日本と旧ソ連の間で戦われたノモンハン事件の特に航空作戦を扱った研究書です。ノモンハン事件は、限定的な枠組の中、短期間かつ激烈な戦闘が行われたこと、日本陸軍にとって、自らが想定した相手と激突した唯一とも言える作戦であることから今日でも学ぶ意義があります。 また、本書は旧ソ連崩壊後に公表された史料を元に、旧東側に属していたハンガリー空軍大佐が、その見識を活かしつつ書いています。このため、従来明確な数値がなかった旧ソ連側の損害等のデータも引用されており、日本側データと照らし合わせることでノモンハン航空作戦の実態をより明らかにしています。また、本書を監訳したのも元航空自衛官で航空自衛隊幹部学校の現職教官で、巻末にノモンハン航空作戦に関する論文を掲載し、読者の理解を助けています。 ただ惜しむらくは、日本側の航空機や写真の説明に難が散見されることです。しかし、それを上回る価値が本書にはあります。