筆者のカットは東京を、クレムリンを、満州国新京を、そしてノモンハンの戦場を自在に映し出していく。そして1939年春から夏にかけて、世界が確かに絡まりあいながら一日一日と動いていったことをことを忠実に記していく。重層的である。そしてもちろん、焦点はしっかりとノモンハンの草原の戦場に当てられていく。悲惨で希望の無い戦争だったと言われるノモンハンが、将兵たちによってどのように激しく戦われたのか?そしてまた、「戦争は何故はじまるのか?」という疑問を持つ人には、いくつかの理由を多面的に提示してくれるだろう。少なくとも2人の人物が、明らかな悪として偶然ではない原因として挙げられている。抑制された文章が、本書に信頼感を与えている。