ヒップホップを飛び道具ではなく確固たる音楽ジャンルとして世間に認めさせた重要人物として2PacとNotorriousB.I.G.の功績は永久不滅であろう。例えるならカンフーのブルースリーでありロックでいうジミヘン、ジムモリソンなどの”革命家”たちと同格といってよい。
この映画…素晴らしい。小説がノンフィクションを超えられないというのも解る気がする。
ここで描かれているヒップホップシーンの熱き一時代はもう二度巡ってこないかもしれない。2PacとNotoriousB.I.G.…同時期に才能ある二人のラッパーが良きライバルとしてしのぎを削るべきはずがひとつの綻びによって壊れていく。
ここに登場するヒップホッパーたち、いわゆる一歩間違えればギャングや闇社会でしか生きられなかったであろう人種であるはずがラップという言葉を巧みに操りリズムに乗せるセンスとスキルが天才的に秀でていたがゆえにチャンスをものにしスターへと登りつめていくのだが、このサクセスストーリーが実に痛快。というか実話だ。
ヒップホップのCDは我が家にも何枚もあるがやはりお気に入りは2PacとNotoriousB.I.G.のCDだな。
”Juicy”というファーストアルバム収録のヒットナンバーの製作現場のエピソードも描かれているがMトゥーメイ”JuicyFruits”をループしてラップ乗っければ大ヒット間違いなしだ、とそそのかすプロデューサーパフダディの言葉に「なんだかリックジェームスみたいだな」…とためらうBIGがおちゃめだ。このBIG役の俳優さん、ホンモノより男前なんだけど人相がよいためにワルにみえてこないんだよね。でも実際のBIGもきっとここで描かれているようなホットで心優しい兄ちゃんだったのかもしれない。
あとこの映画の重要な登場人物はやはりBIGの母親だろう。「アフリカンアメリカン、スラム街の黒人のほとんどがマザコン」という社会学的な分析がなされているそうだが離婚率が高く母子家庭が当たり前な社会がその原因らしいが。女手ひとつで息子を育てあげた強い女性でありBIGの精神性、人間形成に大きな影響を与えた人物としてうまく描かれていると思う。
才能あるラッパーの24年間の熱く濃密な人生は…東西ヒップホップの愚かな抗争の巻き添えに遭い、横付けされた車から放たれた銃弾によって終焉を迎える。この抗争の真相は今も定かではない。ただ東西の二人のヒップホッパーの死は音楽業界にとって大きな損失であったことに間違いはない。
この映画はサクセスストーリーであり、伝記であり、家族愛を描いたストーリーであり…というかBIGの生き様そのものがドラマであったのだっ!!
久しぶりにいい映画観たな。HIP‐HOPよ永遠なれ