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ひとつひとつが大切に歌い上げられた、ほんとうに聴き応えのある、ずっしりとした重みのある一枚でした。
前作がアレンジも伴奏も選曲もやや欲張りすぎな感じで、薄まってしまい、イージーリスニングの域をでない物になってしまったのに対して、今作は本当に渾身の作。伴奏もアレンジも、そして珍しく装丁も?本当にシンプルで彼の歌の素晴らしさの本質が、真直ぐに伝わってきます。
特にテノールでじっくりと歌い込まれた「死んだ男の残したものは」と「ヨイトマケの唄」は、その詩のもってる世界の中に、物凄い引力で惹き込まれて、思わず息をのんで聴き入って、気がつくと止めどなく涙が流れ出てしまう…そうそう、これこそ米良さんなんですよね…
タンゴやジャジーな曲もそれぞれを単にそれらしく、小奇麗にまとめるということでなく、なによりも詩から受けたインスピレーションに素直に反応して、彼なりに練り上げて、全身全霊で表現されてるように感じられるのも本当に新鮮で嬉しい。そんな姿勢に自信すら感じられるのがさらに嬉しいです。
古楽のカウンターテナー歌手=米良さんにこだわる方には無理に薦めませんが、心底、米良美一という歌い手に惚れ込んで、その復活を願っていた方でしたら、是非、聴いて下さい!
ほんとは今後への期待を込めて、☆4.5にしたかったのですが、そんなのないんですね(笑)でもどう考えても4にはできないのでやっぱり☆5つです!
収録されている日本の歌のテーマは、リストラ、DV,幼児虐待、戦争、高齢女性の孤独など、世相を歌った歌が中心です。
しかしラストの曲のヨイトマケの唄を聴くと、それでも頑張って生きていこう!という元気が沸いてきます。
海外の歌は、ナチスの魔手を逃れてパリに亡命したクルト・ワイルなど、
第二次世界大戦前頃の曲が含まれています。
ちなみに、私のイチオシの歌は、2曲目のユーカリ。
戦争の中、どこかに理想郷を求める人々の心や、どことなく殺伐とした慌しい1920~30年代のワイマールやパリの雰囲気を感じることができます。
暗い歌が中心ですが、心を潤してくれる聴きごたえのある曲ばかりです。
「澄んだきれいな声」だけでない、低音の魅力から、カウンターテナーの伸びやかな声まで、充分に堪能できます。
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