写真が高精細印刷されているようでルーペで見ても網点が見えないほど印刷の質が高い。しかし写真は期待していたものとは違った。かつての高梨豊の写真から感じられた何かがこの写真集からは感じられない。なぜだろう。私の記憶の中にある高梨豊の写真には常に人が写っていた。この写真集には人がほとんど写っていない。それが違和感の原因かも知れない。かつての高梨豊の写真に写っていた人、あるいは人の置かれた状況には、それぞれ何らかのドラマが背後に感じられた。この人はどこから来て、これからどこに行くのだろうと思わせる何かと言っても良い。この写真集にも人が写っているショットはあるにはあるのだが、あまりにも日常的な一瞬をカメラに収めただけとしか感じないのだ。光にドラマが感じられないのだ。