すでに連載中に取材を受けた方から「発言を恣意的に編集
された」と抗議のあった曰くつき記事の単行本化です。一般的
なネットユーザーであれば、一読して違和感を感じる内容だと
思います。
かつては違和感を感じても、それを読者が検証することはほと
んど不可能でした。しかし、今では取材を受けた方の抗議が「ネ
ット」を通じて配信され、我々読者は「新聞記事」を信頼するか
どうか判断材料を得ることができます。
一方的に情報を流して世論すら操作できた在来型のマスメ
ディアが、インターネットの広がりの中でその特権を失ったことに
気付きもせずに、懲りずに読者を「幻術」にかけようとする姿は
本書を読んでいて痛々しいほどです。
ネット悪玉論を唱えた毎日新聞社が、自社の英語サイトで
不祥事を引き起こし、それがネットの指摘で明るみに出た事件
は、在来型マスメディアの皮肉な自爆といえるでしょう。
もちろん現在の「ネット社会」にも負の側面はあり、在来型マ
スメディアの重要性はむしろ増していると思います。しかし時代
を認識できないマスメディアであれば役に立つはずはないのです。
本書には時代の変化を認識し損ねた在来型マスメディアの
自爆記念碑としての価値を認め、星一つおまけです。