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51 人中、45人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
後戻りできないからこそ知っておくべきことが書かれた本,
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レビュー対象商品: ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること (単行本)
ネットから情報を得てばかりいると、検索能力や、矢継ぎ早に情報をさばく能力は発達するが、一方で注意力が散漫になって、長文の読解能力が衰え、ものごとを深く考えることができなくなる。また一時的な記憶を脳にしっかりと定着する能力(長期記憶力)も衰えるため、個々の知識量も減っていく(外部記憶装置が脳の長期的な記憶機能の代わりをすると言い換えてもよい)。ネットなしの生活にはもう後戻りできないことを考えれば、これまでとは異なる働きを司る脳の部位の発達した人たちの社会へ、世の中全体が移行しようとしていることを、論理的に、説得力をもって語っているのが本書と言えよう。結果は未来にならなければわからないが、先人が培ってきたよき文化を今後も継承していくことができるのか、また(特にその幼少期の脳への影響に鑑みて)バランスのとれた人格の形成に影響は出ないのか、読み進むとそんな危惧が自然と沸いてきて、止まらなくなってしまった。頭の片隅に漠然とあった「(情報のネット傾斜社会は)ちょっと違うんじゃないか」という感じを具現化してくれる、そんな好著だ。
29 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「浅瀬」からでて「情報遮断」することも必要だという「気づき」を与えてくれる好著,
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レビュー対象商品: ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること (単行本)
インターネットによってわれわれの生活は、それ以前とは比べようのないほどまったく異なるものとなっている。インターネット以前と以後とでは、生活だけでなく思考そのものまで激変してしまったのだが、そう指摘されてもわからないほど、現在のわれわれはどっぷりとインターネットの流れに身を任せている。現代人のこの状況をさして著者は「浅瀬」(shallows)と名付けた。英語版のタイトルはスバリ「浅瀬」である。深みのない、浅い思考の流れに身を任せて生きるのが現実だと気づかせてくれる本だ。 本書を通読して思うのは、この流れは不可逆的なものだろう、よほど意識しないかぎり、この目まぐるしいが、あまりにも便利で快適な流れが保証された「浅瀬」からは出ることはできないだろうということだ。 なぜなら、インターネットという新しいテクノロジーもたらすがサービスにあわせて、われわれの脳が適応してしまっているからなのだ。これは脳のもつきわめて重要な特性、すなわち「神経可塑性」(plasticity)によってもたらされたものである。次から次へと刺激の連続するマルチタスク状態では、脳の働きが浅く広くなってしまうのは当然だ。だから、深く掘り下げた思考が困難になるのは当然といえば当然なのだ。 ジャーナリストである著者は、最新の脳科学の成果を幅広くトレースしているが、なかでも特筆すべきなのは、「短期記憶」(working memory)と「長期記憶」(long-term memory)にかんする考察である。コンピュータは脳のアナロジーであるが、その記憶(メモリー)の性質については絶対的な違いがある。コンピュータにおいては、記憶(メモリー)は無限に複製可能な情報(ビット)として貯蔵され再生されるが、脳においては、いったん「長期記憶」に貯蔵された記憶が「短期記憶」として再生された際、まったく同じ情報としてではなく、あらたな情報として「長期記憶」に貯蔵されることになるのだという。つまり、二つと同じ記憶情報はないということなのだ。これが脳とコンピュータが似て非なる点、絶対的な違いなのである。思考のすべてをコンピュータとインターネットに任せてしまうわけにはいかない理由がここにある。 われわれの思考は、コンピュータの思考とは本来は異なるものなのだ。なのに、われわれの思考はコンピュータの情報処理のような方向に進んでいるのではないか、というのが著者の大きな懸念なのだ。 だからこそ、こういう状況においては、圧倒的多数となりつつあるネット依存者と大きな差をつける方法が「逆転の発想」としてありうるのではだろうか。深読みかもしれないが、この事実に早く気づくに越したことはない。 ふだんはインターネット世界の「浅瀬」にどっぷりと浸かっていても、ときには、この浅瀬から出て日光浴することを定期的に行えばいい。つまり、意識的で意図的な「情報遮断」を行うことだ。何も読まず、電話にもでず、ウェブもメールもツイッターもSNSも見ない「情報遮断」。 この「情報遮断」によって、脳の働き方にメリハリをもたらせばいいのだ。著者自身、本書の執筆にあたってはコロラド山中に山ごもりしたと告白している。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツや、韓国のサムソン会長イ・ゴンヒなどの傑出した経営者が、ときどき山ごもりして思考を深く集中させる機会を意図的にもっているのはそのためであろう。 本書は、現代という時代を「西洋文明史」というコンテクストのなかだけでたどっているが、100%西洋化しているわけではない日本人は、直観力など自らの長所をうまく活かしながら現代という時代を生き抜いたらいいのではないだろうか? 私は、本書を読んで、逆に楽観的な感想をもつに至っている。 このようにいう私も、飛行機で海外へ移動中の「情報遮断」状態でなければ、こういう長くて深い本を一気読みはできないものだと、ため息をつくところではあるのだが・・・。だからこそ意識的な「情報遮断」が必要なわけなのだ。 皆さんもぜひ一度は目を通して、インターネットにどっぷりと浸かった生活を送っているのであれば、日々の生活を再考する機会としてほしい。 本書は、一般人向けのわかりやすい「西洋文明史」と「脳科学」の本として読むことも可能である。
15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ネット社会で人間の行き着く未来は?,
By 亜麻存 花子 (地球) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること (単行本)
今年一番私の知的好奇心を満たしてくれて、読む価値があったと思った本です。ネットを日常的に使用すると一度に多くのことをこなすような、主として視覚運動機能は鍛えられるものの、その代償として記憶力、集中力のみならず、人間が人間たる所以である他者への共感、同情といった高度な精神機能までが退行するようになるというものです。 様々な脳生理学、心理学の研究で実例を挙げてこの事実を述べていく有様に、私は戦慄しました。 私はまだ、「ネットの無かった」時代を知っている世代です。文章を読み、書かされることが多い学生時代を過ごしました。 一方で現代の、「最初からネット」がある若者世代の脳は一体どうなってしまうんだろう、と懸念を覚えます。「集中力がない」「他者への共感、想像力に乏しい」「少しでも長い文章は母国語でも目が滑って読めない」といった若者の特性が、ネットが脳に解剖学的、生理学的変化を起こしてのことだったのなら納得がいきます。人類自体が、同じ人間の皮を被っているけれど脳の構造は違う、別の’表現型’に移行する過渡期のようにすら思えます。 著者自身もネットのヘビーユーザーであり、その便利さと魅力には抗えない。と正直に書いています。 多岐に渡る引用元の論文や文献の斜め読みをしたという著者が、本当に論文の意図を正しく知って引用して書いているのかを確かめることは私には出来ませんが、本来の論文の意図とは違う紹介の仕方をしている可能性は否定できません。 よって、仮にこの本に出ている「実験」や「引用」の6〜7割が正しい。と割り引いて読んだとしても、恐ろしい内容であることには変わりありません。 翻訳は、シンタックス、マージン、コノテーション、トートロジー、コミットメント、ランドスケープ、サイバネティックといった語については、私には一般的な(カタカナで表記すべき)外来語とは思えませんで、意味をすぐには把握できなかったので、訳語にはもう少し気を配って欲しいと思いました。 が、内容の重要性から星は5つのままとします。
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