本書の中でドラッカーは、今日の先進国に共通する問題である少子高齢化のインパクトと、それに応じた雇用・マネジメントの変化について論じている。来るべき未来に対応するために、企業の雇用はどうあればいいのか、さまざまな雇用形態が入り乱れるなかで、マネジメントはどのようになされるべきなのか、個人はどのようにキャリアを磨いていけばよいのか、興味深い議論が展開されている。過去の人口ピラミッドの変化に触れながらこれからの社会を予見したり、また産業革命当時のヨーロッパを振り返りながらIT革命の本質について論じたりする部分には、ドラッカーの歴史観が表れていて読みごたえがある。
本書はまた、トップマネジメントやビジネスパーソンへの啓蒙という意味でも価値がある。トップを含む知識労働者の資質や教育、雇用、評価の方法など、知識社会で働くすべての人に欠かせない視点が提供されており、さらに、資本主義の原則では実現できない個人の豊かさについても言及している。本書で示されているドラッカーの歴史的視点からは、多くのヒントを学び取ることができる。(土井英司)
新たな社会では、トップマネジメントが変わるという。組織には経済機関、人的機関、社会機関の3つの側面があり、米国の「株主主権モデル」は経済的側面を、日本の「会社主義モデル」は人的側面を重視しすぎていたと指摘。また、ドイツに象徴された「社会市場経済モデル」も、社会を安定させられなかったと分析する。
新たな社会においては、それら3つの側面をバランスよく制御することで社会的な正統性を勝ち得た組織だけが生き残るという。そうした意思決定を行うトップマネジメントこそが優れた企業の条件であり、他の経済活動はすべてアウトソーシング可能だとまで言い切る。雇用の変化では、知識労働者を「(知識を売買する)新種の資本家」と位置づけ、特徴を詳しく説く。
日本社会の劇的な改革を望む機運に関しては注意を促す。官僚機構が腐敗の象徴とされているが、先送り主義や天下りは、「悪」どころか有効な場合も多いとする。次の社会でも官僚に代わるリーダーはいないと結ぶ。
(日経ビジネス 2002/06/10 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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36 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
よくぞここまで,
By HJ (埼玉県戸田市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる (単行本)
1ビジネスマンとして、一度はドラッカーの著作と思い、購入して読んでみた。 そのほとんどが1990年代後半〜2000年代前半に 書かれていて、未来についての記事は、現実に起きたこと 現在起きていることである。 つまり、ドラッカーの予測・予想・予言が当たっているのである。 ここままであれば、このレビューを書いている時点では 過去形のことばかりであるが、ここに綴られていて 予兆の段階であること、まだ実現していないこともある。 それをどう捉えるかは、読み手次第ということでしょうか。 凄まじい本です。
15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日本人は読むべし!,
By mini1 "タロウ" (宮城県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる (単行本)
ネクストソサエティとは、要は、社会構造の変化が、ありとあらゆるものを変えていくということのようです。特に著者が重要視しているのは「少子高齢化」とIT等による「情報・知識」。 知識労働者の増大は、「知識労働者に性別は関係ない」と、特に女性にとって大きな意味を持つと指摘しています。 そして、知識は急速に陳腐化することから、これまでのように社会にでたら勉強は終わりというのではなく、 eラーニング等で、定期的に、あるいは常に学ぶことが重要であると。 日本についての記述も多く、はっとさせられる部分もあります。是非読んでみてください。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
将来を見据えるための枠組み、ブロックを提供してくれる本,
By 読んでみる "よむよむ" (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる (単行本)
この本は英エコノミスト誌をはじめとした、雑誌に掲載された記事をまとめたものです。時期としては1997~2001年に掲載されているようです。 暫く前に書かれた記事ですが、古くささを全く感じません。 これから先、日本は世界はどうなっていくんだろう? 社会人として、一人の人間としてどういった事を予想し、日々の行動に反映させ、 長期的な計画を立てたらいいんだろう? そんな思いを持っている時に私は読みました。 私はたいして賢くないですし、経験も人並みです、知識も人並みです。 だから、ドラッカー氏がここに書いてある事をなるべく素直に受け止めようとしました。 例えば、下記の様なものがあげられます。 「指示する」というスタイルから「パートナーと見なし、いかに協力して望む結果を共に生み出す」というスタイルが重要になるであろう事。 製造業の地位がかつての農業がたどったように、就業者の大多数が所属する分野ではなくなるであろう事。 知識のプロとしての知識労働者になる事、そういった人材を活用する事がいかに重要かという事。 このままの自分でいいのだろうか? 世の中はめまぐるしく変わっていくようだし、何かもっとした方がいいんじゃないか? と自問自答しても漠然とした考えの粋から出られるずにいる人がいらっしゃったら、是非本書を読んでみて下さい。 きっと、そういった思いに対する何らかの答えが見つかると思います。
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5つ星のうち 5.0
なぜ日本人はもっとこの本を読まなかったのか?
他の方も散々書いているとおり、この本は15〜10年前にかかれた預言書です。... 続きを読む
投稿日: 10か月前 投稿者: 黒連星
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