本書は共産主義の可能性について考察した本です。
共産主義について解説した本はたくさんありますが、本書の特徴はその起源をユダヤ教の「旧約聖書」までさかのぼり、それとの対比で共産主義の歴史を紐解いているところです。特に近代のマルクスの思想、共産党の動向などはユダヤ教との比較によって、新たな側面が浮かびあがってきます。
また共産主義の歴史を概観するという点でもコンパクトにまとまっており、良書だと言えます。旧約聖書からユートピア主義的なプラトン、メシアニズムによる千年王国論。空想的社会主義の諸潮流も詳しく紹介されており、マルクス以降については共産党のあり方や革命主体について、階級や国家などの様々な論争が網羅されています。最終的に提起される新たな共産主義、‐他者と喜びを共有するメカニズム−は、従来の暗く、忍耐を前提にした共産主義に対するイメージを払拭する、パラダイム・シフトとなるのではないかと思いました。
共産主義思想について知るのに最適な本です。