我われがネイティブアメリカンというときに、まず想起されるのがアメリカ映画に出てくる「白人の入植の敵」と言う敵役像である。
古いアメリカ映画の題名を見ても「西部開拓史」「アパッチ砦」など、すべて悪役として描かれている。
しかし、この本から、白人の身勝手な入植、インディアンの虐殺・収奪などの歴史を学ぼうと期待していると、いささかお門違いの期待となろう。
この本は、過去の白人の悪行は過去のものとして、むしろ現代アメリカ社会において、ネイティブアメリカンがいかなる社会的地位に置かれているかに力点を置いている。
中南米のインディオはいまや白人と完全に融合し、むしろ原住民中心の国家をつくっているが、北米においては、いわゆるインディアンは劣悪な環境の「インディアン居留地」に隔離され、民芸品などを作って細々と生活を送っている。白人社会はインディアンと融合するよりもむしろ隔離に熱心のようだ。彼らのアメリカ社会における地位は黒人、ヒスパニック、アジア系よりも低く大部分が貧困生活を送っている。近年、インディアンの権利回復などの運動も起こっているいるようだが、それとても確立された白人社会の法の範囲内での運動にとどまらざるを得ない。かかる、近・現代のインディアンのおかれた地位について本書は著者の足でしらべ、現実を描写している。
インディアンの権利回復は果たしてなされるのか、本書を読んだ限りでは道は遠いが、すくなくともアメリカにおけるネイティブアメリカン問題の現状を活写している。