どうしたらネイティブに近づけるか。これは語学を学習する者にとって永遠の課題だ。
私はTOEIC975点であり、日本人としては英語ができる方なのだろうが、しかし、
ネイティブに近い英語の運用能力を身につけるのはやはり不可能なのだろうかと、絶望
にも似た思いを抱き始めていた。というのは、ネイティブと話をしていると、彼らの英
語と自分の英語が全く違う、あるいは、ネイティブと自分とはまったく違ったメカニズ
ムを通じて言語を操っていると、感じざるを得ないというのが実感だったからだ。
ーーそのようなことを感じているときに、この本に出会ったのだが、なかなか面白い着
眼が示されている。著者いわく、言語を話したり聞いて理解したりするときの人間の頭
の働く場所として二種類があるという。すなわち、「言葉をつかさどる場所」というも
のと「考える場所」というのがそれで、ネイティブは「言葉をつかさどる場所」で言葉
を操っているのに対して、外国語を学ぶ多くの者は「考える場所」で言葉を操ろうとす
る。だからネイティブに近づけないのだ、というのが著者の仮説だ。
このような仮説が、第二言語習得に関する研究成果によってどの程度裏打ちされるもの
なのか、私は知らない。しかし、自分が長い間、英語を学ぼうと努力してきた過程でい
つも感じてきた実感にはとてもよく合致する仮説であることは間違いなかった。
著者の進める学習法を試してみてからでないと、この本の価値を本当に判断することは
難しいのだが、とりあえずの評価として、★★★★★としておく。というのは、とりあ
えず、英語を真面目に学ぼうとする人に対して、一読を勧めるに値する本と思うからだ。
著者の勧める勉強方法を私なりに実際に試してから、また、レビュー書きたいと思って
いる。