本作は、2005年8月にナッシュヴィルのカントリーの殿堂で行われた、「プレーリー・ウィンド」のワールド・プレミアを中心にしたアコースティック・ニールの近年最高のコンサートの記録で、ニール・ファン必携と断言できよう。さすが、ジョナサン・デミ監督。映画の作品としての出来自体が素晴しい。照明、カメラの配置、ニールの表情のアップの多用、編集等の冴えによって、シンプルなステージなのに画面にぐいぐい引き込まれる。導入部とニールが無人のステージでアコギを演奏する場面にエンド・ロールを重ねるアイデアも憎い。撮影の裏話等はわざわざ車中で行った主要ミュージシャンとのインタビューとともに特典映像の見所となっている。コンサート自体も文句なしの出来。第1部はプレーリー・ウィンドの収録曲全部を同アルバムの曲順通りに演奏する(ヒー・ワズ・ザ・キングだけはディスク1の特典映像の方に回されているが)。ベン・キースやエミルー・ハリス等同アルバムをサポートしていた多くのメンバーが本作のステージにも参加。まさに夢のよう。第2部はアイ・アム・ア・チャイルドから始まり、ハーヴェストから孤独の旅路を含め3曲、ハーヴェスト・ムーンから3曲を含む9曲が演奏される。第1部とあわせてナッシュヴィル・トリロジーを意識した選曲である。なお、カムズ・ア・タイムを演奏する前にMCでニコレット・ラーソンに言及してくれるのは彼女のファンとしては嬉しい限り。ハンク・ウィリアムスのギターに関するエピソードの紹介に表れているように、ナッシュヴィル及びその地の音楽に対するデミ監督とミュージシャンの敬意がこの傑作に結実したと言える。それにしても、老いて益々アクティブなニールの活躍からは当面目が離せないですね。