~ニートである人への取材は、実は少なくて、中学2年生に職場体験をさせる兵庫県と富山県の試みについての取材、描写が多い本です。著者たちはこうした取り組みが「ニートが生まれるのを防ぐ効果がありそうだ」としてこの本で2章を使って述べていますが、その因果関係は厳密には不明です。なぜなら、本書はニートの実像にはあまり迫っていないからです。
~~ニートとして紹介されている人たちにしても、ある女性は支離滅裂な話し振りや、周囲の反応を考慮できない様子が、何か病的な印象を与えますし、別の青年は高校受験の機会に在日韓国人であることを知ってショックを受けていたりして、やや特殊な事情を抱えていると言わざるを得ず、「誰でもニートになりえる」という著者たちの主張を鵜呑みにしにくくしていま~~す。
そもそもの、「2003年、ニートは少なくとも40万人いる」というショッキングな統計的数値にしても、かなりいい加減な推計と言わざるを得ません。統計ということでいえば、厚生労働省がUFJ総合研究所に委託して行ったという調査も、「インターネットを使って若年の無職者自身に聞き取りを行った」という時点で極めて怪しい統計です(母集団も不明~~、サンプルの品質も不明なので)。この統計の利用のしかたも変で、統計を(怪しい統計をあえて)素直に受け取れば、高卒からニートになるケースがもっとも多いのに、中学2年生の職場経験を紹介する章では中学までで不登校を治し、自信を取り戻させることがニート問題解決の糸口であるかのように述べていたりします。
引用しているイギリスの調査と同様に~~、「ニートの実像はよく分かっていない」ということ以外は、実はあまり述べていない本かもしれません。ただ、ニートという概念を紹介していること、フリーターとは違うことを主張しているという意味では価値があると思います。
余談ですが、(他のレビューでも触れられているとおり)著者の一人の玄田氏の「フリーター」への認識の甘さには失笑してしまい~~ます。フリーターと正社員の間にある巨大な専門性の格差について認識がないのは、学者先生の世間知らず故でしょうか。~