Storyとhistoryつまり物語と歴史は同源である。
歴史が物語をつむぎだすのか、物語られることが歴史なのか。
そこには、「どちらともいえない相関関係があると思われるが」
と著者は考えている。
これはニーチェにおいてはいったいどうなのであろう。
あらゆる価値体系を周到に破壊したと思われるニーチェは、
「歴史はもはや、世界史の一大ドラマとして構想されるものではない。
物語は粉砕された。それとともに歴史に関して(形而下的に)
長期の見通しをつけることは極めて困難になってくる。
なぜなら歴史の長期的展望を支えていたのは形而上学的原理だったのに
今やその無効が宣言されてしまったからである。
いまや物語の体をなさない破砕された断片が、はっきりとした脈絡もなく
散乱するだけである。この窮地をいかにして乗り越えるのか」
これこそがニーチェの課題であった。
人間は歴史から学ぶといわれているが、破砕された断片である歴史から学びうるのか。
歴史は繰り返さないのである。