本書は、海外市場の紹介ブログも書かれておられるワールドトレーディングエッジのデイトレーダー兼平勝啓氏の書かれた待望のNinjaTrader入門書だ。
海外市場で取引する者やシステムトレーダーでNinjaTraderを知らなければ、なんと勿体ないことだろうか。過去にはお高いTradeStationというシステムトレーダー用ソフトもあったが、あれは過去のものだ。NinjaTraderは最新のプラットフォームといえる。しかも、リアル取引しないかぎりは無料だ。FXで例えれば、MetaTraderを知らないようなものだ。
NinjaTrader自体は、バリバリのデイトレーダーから、アルゴリズムを考えメカニカルにトレードするシステムトレーダーまで使える類のチャート兼売買プラットフォームだ。この書籍の副題からNinjaTraderはシステムトレーダー向けと思いがちだが、デイトレーダーにも福音となる機能を持つ。特に多段で半自動でイグジットの戦略を立てられる「ATMストラテジー」の機能は次世代のデイトレーダーのためのものだ。
さて本書のレビューに入ろう。
一言で言うならばNinjaTrader入門書としては本書は素晴らしい一冊。300ページほどあるが、土日の2日程でサクっと読めてしまうちょうどよいボリュームでもある。
私は読む前から数ヶ月ほどNinjaTraderを使っているが、本書は、デモ売買からシステム作成、自動売買まで一通りの機能、設定、解説が網羅されているように思う。英語のプラットフォームに不慣れでも、どこが何の機能か、何の設定かは大体わかるようになるだろう。もう少し、スクリーンショットなど画像があればなおよかっただろうが、この辺は、実際にNinjaTraderを横において、触ってみる事でカバーしてほしい。
さて、本書の欠点として、C#でシステムを組む部分はさすがに足りないが、C#自体だけで既存の入門書が何冊もあるくらいであり、本来ならこの部分だけでも一冊かけてしまうだろう。仕方がない面もある。多少いやな言い方をすれば、この手のプログラム言語やDSL(ドメイン特化したスクリプト)でシステムを記述するタイプのプラットフォーム(TradeStation, AmiBroker, Wealth-Lab, MetaTraderなど)に慣れていない初心者であれば、さらにページを割いて書いたところで難しさが増え、混乱するだけだろう。入門書としてはわりきっていて、これでよいのだとも言える。
また、すでに使っていた私でも「あ、こんな機能もあったのか」「この設定はこんな意味だったのか」などという箇所がいくつもあった。
巻末の関数一覧は、C#でプログラムでシステムを作る場合、一通り眺めておくことをオススメする。一言解説だが、日本語で書かれているのでとっかかりになる。さらっと見ておいて、詳しくは公式の英語のドキュメントを読めばよい。
NinjaTrader経験者であっても一度は読んでおいてよい書籍であるようだ。
ただ、根本的な問題としてやはり英語は必須である。
いくら入門書があるとはいっても、現時点では、公式の英語のドキュメントを読んだり、わからないところはフォーラムで英語で聞かなければならない上、ブローカーで口座開設、取引をする際にも英語は必要となる。本書では、いちいちブローカーの口座開設まで解説していないこともあり、本書を読んだだけで全て情報が整うわけではない点は注意したい。
とはいえ、英語に拒否反応がなければよいというだけの話だ。
高校のころ英語で落第しかけた私が口座を開き、使っているのだから、その程度でも問題ない。
最後に、わざわざ英語のツールのために、本書をしっかり書き上げた勝平氏には感謝したい。正直な話、私なら依頼が合っても絶対に書かない。NinjaTrader自体がツールの優位性を持っているし、なにせ敵が増えるだけだからだ(苦笑)