◎ 内 容
日本人にニワトリを知らない者はいない。
もちろん、好き嫌いはあるだろうが、
標準的日本人は三日間と鶏肉を口にせず
暮らすことはできないだろう。
本人が意図せずとも、街で生活しているだけで、
必ずや口にニワトリが入ってくる。
人間にとってニワトリとは、そういう相手だ。
他方、生きたニワトリを見る機会は、
現代の日本人にとって決して多くはない。
また、先進国の大多数の人々が、
自分たちの栄養源となる命が、どう生まれ、どう生き、
どう殺され、どう運ばれてくるのかを知らずにいる。
誰もが知る鳥と、誰も知らないその本当の姿----。
現代の「食の神話」を支える人類8000年の伴侶の実力と素顔を、
注目の遺体科学者が徹底公開!
◎ 目 次
まえがき
第1章 なぜ人はニワトリを愛でるのか
第2章 家畜の最高傑作、ニワトリ
第3章 ニワトリの栄光と苦悩
第4章 日本人とニワトリ
第5章 答えのない旅
あとがき
◎ 著者プロフィール
遠藤秀紀(えんどうひでき)
1965年東京都生まれ。東京大学農学部卒業。
国立科学博物館動物研究部研究官、京都大学霊長類研究所教授を経て、
現在、東京大学総合研究博物館教授。博士(獣医学)、獣医師。
動物の遺体に隠された進化の謎を追い、
遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱、
パンダの掌やアリクイの顎の呼吸器などで発見を重ねている。
著書に『ウシの動物学』『哺乳類の進化』(以上、東京大学出版会)、
『パンダの死体はよみがえる』(ちくま新書)、
『解剖男』(講談社現代新書)、
『人体 失敗の進化史』(光文社新書)などがある。
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最も参考になったカスタマーレビュー
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
食べたいほど愛してる?,
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レビュー対象商品: ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書) (新書)
前書きを読んでニヤリ。遠藤氏の本業は動物学者ですが、たぶん文章を書くこと自体が好きな人です。ややひねった軽妙な前書きを読むだけで、面白そうな予感がする。まずは古今東西の家畜文化論的な話から始まって数十ページ、驚愕の数字がドン! 卵用鶏の産卵数は一年で凡そ300個で平均60g程度。重さにして18Kg、これが採算ラインで卵用鶏の大人の平均体重が2Kgなので、1年で体重の9倍の卵を産む計算になるって、なんじゃそりやー!。で、生後700日頃に産卵数が減少しだすと産廃として処分される。その数、年間1億羽。そこに愛があるのか! ブロイラーは肉用種の総称であり、特定の品種ではない。肉用種に求められるのは高成長速度=低コスト、ブロイラーは生後50日で2.8Kgに達する、まだまた成長するのだが、飼育効率の最も良い50日前後で鶏肉にされる。なんと、全ての"鶏の唐揚げ"は、"若鶏の唐揚げ"であったのだ。 このあと話はニワトリの起源にさかのぼる。全てのニワトリの祖先はセキショクワケイという種に行き着く、この鳥、年間産卵数は10個程度で肉量も少ない、さらに警戒心が強い。何でこの鳥を家畜化したの?という疑問が出てくる。 そこで遠藤氏は、心のエネルギーという物を仮定する。例えば宗教的儀式や、闘鶏や鳴き声を楽しむためセキショクワケイを飼い始めたのではという仮説だ。 実際、この鳥の子孫も縄張り意識が強く、それを利用した闘鶏は現在でも世界各地で行われている。 江戸時代になると日本の出番だ。美しい泣き声が特徴の小国、人間が尾を持って散歩させる尾長鶏あるいはミニ鶏のチャボなど、我らが先祖である、太平の世の趣味人たちは、ニワトリにも深い愛を注いでいたのである。 上記の通り、人間とニワトリの関係は遺伝子解析だけでは理解できない。遠藤氏は本書で歴史学、考古学、文化人類学、etc.と幅広い学問を導引してこの謎に臨んでいる。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
兼用種では競争力がない,
By チャールズ マンガー (東京都小平市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書) (新書)
僕が興味があり、かつ印象に残ったのが、肉か卵の分離体制についてと廃鶏についてだ。第2章 家畜の最高傑作、ニワトリ 古く、効率的でない伝統的なやり方が、新しい技術や発想で大幅改善、効率化されるのは工業生産品だけでない。 畜産動物も早熟巨大な品種に限定されて行き、兼用種では競争力がないということだ。 「卵を採って産まないお婆ちゃんになったら、殺して肉にする。」というのが伝統的なニワトリ飼育の図式。 ブロイラー飼育の確率と、大量の卵量を達成した卵用種の実現で瓦解した。 現在では「卵を採るか」「肉にするか」が完全に分離体制が敷かれており、経済合理性から見て兼用種ではまったく経営の競争に勝てないのが常識になっている。 卵用種であれば、初産日齢が160日と進化を早くうながされた。 (初産日齢が遅ければ遅いほどただ飯食いの時間が長くなり飼育コストが増える。) 産卵能力が高く安定するもの ニワトリは通常15年ほどの寿命があるが、2年を超えると産卵能力が落ちるとため生まれて700日を経つと廃鶏と呼ばれ廃棄物処理される。 日本で廃鶏は毎年1億羽。 もったいないように思えるが、経済原理はこの線を譲れない。 廃鶏は無料か数十円で輸送費さえ負担すれば手に入るという。 現在のところ、研究室で解剖されたり、化粧品の成分抽出に利用されようとしているが未だ決定的なものはない。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
愛すべき鶏,
By 桃隆子 (東京都練馬区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書) (新書)
世界の食とタブーについて書かれた「食と文化の謎」(マーヴィン・ハリス)において牛、豚、羊は取り上げていたが、鶏だけ言及がなかったので本書を購入。 研究者でありながら、軽妙洒脱な文章は面白く一気に読了。 筆者が愛して止まない鶏だが、薄っぺらに感情移入することもなく クールに論じているところも心地良かった。 もちろん、鶏が宗教的にタブータブーとならなかった理由も 解決出来た。
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