全1〜4巻で構成され過去にNHKアニメで放映された。
作者のセルマラーゲルルーブはノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの女性作家、その肖像が紙幣にも
なっている。日本の受賞者である大江健三郎氏も良書として紹介していた。
自分は少年期この本に感動し、学生時代本を携えニルスの旅路通りに南スウェーデンを一人で旅行した。
親すら愛する事を知らない少年ニルスが、裏切りの罰として妖精の魔法で小人にされ、ガチョウの背に乗って
雁の群れと旅する中で、スウェーデンの美しい自然や文化、生きる者の気持ちを学びながら人間として成長して
いく姿がリアルに描写されている。
鳥の背から見る風景は100年以上前に飛行機の無かった時代の空想の文学とは思えない。読み始めるといつも心に
北欧の澄んだ空気が流れ込んでくるように感じる。
ニルス少年の心の成長が周囲に及ぼす不思議な物語も意味深く、歳を重ね何度読んでも新しい感動がある。
日本語に翻訳された年代が古く、文体に少し違和感がある部分もあるが、それもこの物語の味わいになっている。
今の子供にも読み聞かせれば親子で楽しめると思う。
登場するシーンはほとんどスウェーデンに現存しているので大人の旅のガイドとしてもおすすめしたい。