オペラや管弦楽曲を新たな視点で吹奏楽用にアレンジした作品を集めた「ニュー・アレンジ・コレクション」
の第5弾です。演奏は陸上自衛隊中央音楽隊、指揮は武田晃隊長、録音は2007年12月となっています。
陸上自衛隊中央音楽隊の恐ろしいほどの高度の技量と表現力が炸裂したすばらしい出来栄えのアルバム
です。
収録曲は以下のとおりです。
1.喜歌劇「伯爵夫人マリツァ」セレクション(カールマン作曲/鈴木英史編曲)
2〜3.歌劇「イーゴリ公」よりポーロヴェッツ人の踊り(ボロディン作曲/黒川圭一編曲)
4.歌劇「はかなき人生」セレクション(ファリャ作曲/森田一浩編曲)
5.喜歌劇「軽騎兵」序曲(スッペ作曲/中橋愛生編曲)
6.歌劇「トゥーランドット」より(プッチーニ作曲/後藤 洋編曲)
7.ラシーヌ讃歌(フォーレ作曲/鈴木英史編曲)
8.楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」セレクション(ワーグナー作曲/森田一浩編曲)
主としてオペラの有名どころをセレクション・メドレー形式でまとめるという形で編曲されています。
これまでオペラ曲の吹奏楽編曲は珍しい部類でしたが、鈴木英史が「セレクション」という形式で編曲
し、それらが全日本吹奏楽コンクールで演奏され金賞を受賞するなどの実績を上げたことも影響してか
全国的に爆発的に演奏されるようになりました。今では吹奏楽の重要なレパートリーとして定着して
います。伯爵夫人マリツァは明るく軽快な楽しい曲であり、トゥーランドットも「北京の人々よ」、
「誰も寝てはならぬ」、「砥石よ回れ」などの有名旋律がふんだんに盛り込まれており、演奏するにも
聴くにも飽きのこないような工夫がなされています。オペラは吹奏楽で演奏したり表現したりするのが
最も難しい(向いていない)と思われがちですが、陸上自衛隊中央音楽隊は見事なまでの技量と表現力
でそうした疑念や不安を一蹴してくれています。もともとエモーショナルな表現にあふれた総合芸術で
あるオペラの曲が、明るく輝かしい吹奏楽の響きと融合することで新たな魅力を放っています。
なお、星を4つとしたのは、指揮の武田隊長の堅実でクリアな職人芸的音楽づくりが、トゥーランドット
において、曲の伸びやかさと自由さに若干のフタをしたように感じられたためです。しかし、それは
聴く者の好みの問題であり、この第一級の演奏の価値は不変です。
吹奏楽の表現力の可能性を確認できるという意味においても一聴をお勧めします。