ビリーのアルバムはどれも佳作揃いであるがゆえに、大ブレイクする直前に発表されたこの作品はどちらかといえば有名ではないかもしれない。しかしながら、1曲目の「Say Goodbye To Hollywood」からラストの「Miami 2017」まで、ココロを揺り動かすような曲が詰まっている。つまらない邦題が作品のイメージを台無しにすることも多いが、この「ニューヨーク物語」という邦題は、作品そのものをよく表している秀逸な邦題だと思う。踏ん切りがつかなくて背中を押して欲しいときには「Say Goodbye Hollywood」を、もう会えない友のことを思いながら「James」を、勇気を振り絞りたいときに「Angry Young Man」を、遠ざかる夢をあきらめたくないときに「Miami2017」を聞いてほしい。そして、この作品には忘れてはならない名曲が入っている。今、この場所で毎日を繰り返している自分に手ごたえを持てなくなったら、ひとりで「New York State Of Mind」を聞いて欲しい。できれば歌詞を読みながら。
派手ではない作品かもしれません。でも何度も聞くと、きっと宝物のようなアルバムになるはずです。