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謎の遺品を残して死んだ母の生前をたどる表題作をはじめとしたちょっとコワい連作『春画』、文句なしに怖すぎる『飛ぶ男、噛む女』に続き、今度は娘の一時帰国と一緒に連れてきた猫の物語を中心とした家族物語の連作。チベットに年に何度も出かける妻とは、初めて共にチベットに行き、彼女の知らない一面を知る。留学や仕事で外国暮らしをしている娘、息子との交流。事実をふまえているのにやっぱりエッセイではない、という不思議な作りのシリーズで、これは心あたたまる系の一冊。
ひと言でいって、“親父世代の鏡”のような人である。ぶらりとあてもない旅に出て、暗くなったら海岸に引き上げられている舟の陰にテントを張る。そして、ビールをひとりちびちびやりながら、スーパーで買ってきた弁当をパクつく。こういうのを読むと、一回り以上若い僕は元気付けられる。僕は彼の本を読むことによって、明日のエネルギーの素を貰っているんだろうと思うと、これからも無視できない作家であることに改めて感謝するのである。
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