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穴を掘る、つまり無を作っている、でもその虚しい努力をやめることはできないという矛盾は、セーフティ・ネットのない社会に生きることの、終わりのない不安感を描いているように思います。ヴェトナム反戦運動とその弾圧両方の暴力は、結局暴力には暴力をもって対抗するという、アメリカの力による正義の独善性を描きます。それは、いつ自分が追われる側に回るか、という焦燥感に直結しています。また元々誰のものでもないウラニウムの鉱山を、相手構わず売りつけ一山当てることを成功と見なす拝金主義。それは、自分が売ったウラニウムで核爆弾が作られ、それで殺されるのではないか、という恐怖感につながっています。
一見極端な設定ですが、現代アメリカの抱える病理のメタファーとして捉えるとこの小説の奥深さが見えてきます。この小説は、自助努力をマントラとして、他者への想像力や思いやりを欠かすことを良しとしてきたアメリカ社会の暗い部分を批判します。そして、この不安に満ちた社会は、我々一人ひとりが自ら蒔いた種に寄与しているのだ、というアメリカ人が目を背けたがる現実を突きつけるのが本書の凄さでしょう。
訳者村上春樹の文章と、ティム・オブライエンの世界観が非常にマッチしており,翻訳本であることを忘れさせるくらい,読者をひきつける作品にしあがっています。
訳者村上春樹は、この本は本当に素晴らしい作品なのだがあまり売れなかったという。
なぜこの本が売れなかったのか、この本を読み終わったとき、きっとあなたも不思議に感じるでしょう。
そして,もうひとつ、この本を読み終わった時に,あなたは感じるでしょう。
「はたして,何が現実であり,何!!が幻想であるのか。」と。
不思議な読後感は後を引きます。
そう、「やられちゃう」のであります。
ぜひともおためしあれ!
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