現在、ポーランド語を日本語で学習できる教材は少ない。詳しかった白水社の「ポーランド語の入門」は絶版になって久しい。なぜ復刻または改訂再版しないのか不思議なのであるが、この言語の学習書はあの大学書林にさえないのである。つまり、一通り学べるものは本書しかない。同じ著者の旧著「エクスプレスポーランド語」に比べると、本書では、英語のA is Bという文にあたるポーランド語のBが、主格でなく造格になるというスラブ的特徴が早い課に比較的詳しく取り扱われている。ついでであるが、付属CDの吹き込みの女性の声が明晰で美しく、よい。こういうことは余計なことであるようでいて、実は学習者の刺激になるものである。ときどき、ネイティヴであるというだけの老人のはっきりしない声で収録されている語学教材を目にすることがあるが、聞く方としてはいただけない。今のところ、学習者はまず本書から入り、続いて既習言語による教材をたぐっていくほかはないと思う。