今年ウィーン・フィルが選んだ指揮者は、フランス人のジョルジュ・プレートルだ。1924年8月14日生まれの彼はフランス人で初めてニュー・イヤー・コンサートを任されただけでなく、僕が知る限り最高齢である。どこまでやるか楽しみにしてみていたのだが、素晴らしかった。
ウィーン八重奏団の演奏会で観た人たちがあの時と同じように楽しそうに演奏していた。そして何と言ってもアンコール3曲が素晴らしかった。ニュー・イヤー・コンサートのアンコールは3曲と不問律で決まっていて、なおかつ2曲目は『美しく青きドナウ』、3曲目は『ラデツキー行進曲』と決まっている。と言うことで1曲目に何を持ってくるかと思ったら、何と『スポーツ・ポルカ』を持ってきた。これは、サッカー欧州選手権が2008年ウィーンで開催されることにちなんでらしいが、ウィーン・フィル全員がスポーツ・タオルを首に巻いて演奏し、途中でコンサート・マスタがふざけだすとすかさずジョルジュ・プレートルが胸からイエロー・カードを出し警告。負けずに最後にコンサート・マスタがプレートルにレッド・カードで『一時』退場となる。実に楽しい演出だ。
続けて2曲目のアンコール『美しく青きドナウ』ではこのワルツにあわせてウィーン学友協会会館の方からステキな2人のダンサーが社交ダンスをスタートし、最後は何と会場内へと入ってきて踊る。実に見事な演出。ダンスの女性は最後にプレートルに花を一輪手渡して退場する。
最後の『ラデツキー行進曲』で何とプレートルは観客の方を向いて指揮を始める。そして観客の手拍子を指揮しだすのだ。実にいい。こんなステキなニュー・イヤー・コンサートは初めてだったのではないだろうか。こういう演奏会に行った人こそ幸せだと思うな。