00年に完全五千部限定で箱入り、肉筆サイン入り護符口絵(通常の意味のサインではないです)とシリアルナンバー付きで発売され、すぐに完売してしまったという「ニッポン昔話」。その豪華本を上下巻の2冊に分割して復刻したのが、本書という事になります。
この新装版/上巻には豪華本に付いてた特典がない代わりに、1.描き下ろし特別カラーイラスト(4頁)、2.豪華本では収録から漏れた「ねずみ浄土」、3.単行本初収録の「おばあさん子(これはシリーズ作ではない)」の、3点の付加価値が加えられています。
値が張るため(確か3780円だったかな)当時は泣く泣くスルーしたので、個人的には買いやすい形で出してくれただけでも☆5つ。
内容は昔話を花輪流にアレンジ・新解釈したもので、多くの作品にSF的な要素が含まれます。初期のようなどろどろした部分はあまりなく、どこか悟りきったように淡々としてます。読み返してるうちにジワジワきますね。第六章「瓜子姫」での、瓜子姫様と寺の少女の友情が心に染みました。
第四章「一寸法師」は伝承とは全く違って、虐げられている屋敷の下女が、お椀を漕いで川を流れているツヤツヤした生物を拾いあげる所から始まります。不思議な生物と下女の少女の交流が凄くいいです。
第三章「浦島太郎」は竜宮城から帰還してからの話で派手さはないが、老人となった太郎の心情描写など、しみじみと味わい深い内容です。浦島太郎と全く関係ない、何それってオチを持ってくるところが先生らしい。“亀”のイメージやデザインも見所です。
絵の描き込みが緻密で、特にいくつかの作品で挿入される見開きの素晴らしさは眩暈がするほど。あと各話にある扉絵も、非常に力の入った仕上がりです。
第一章「ねずみ浄土」
第二章「舌切り雀」
第三章「浦島太郎」
第四章「一寸法師」
第五章「かぐや姫」
第六章「瓜子姫」
ニッポン現代話「おばあさん子」