学生に講義を聴かせる、という形式で書かれているので、
内容の割に読みやすい作品だと思う。
百年というのは、日本でいわゆる小説が生まれて百年ということから。
1)小説の多くはたいてい、恋愛か死が題材になっているのには理由があるの?
2)「文学的な作品である」、「文学的に劣る」というときの「文学的」とは一体なんだ?
3)片山恭一さんの「世界の中心で、愛をさけぶ」や、Yoshiさんの「Deep Love」など、
売れているのに、いわゆる文壇からは無視されている気がするのはなぜ?
4)ニッポンの小説の源流は誰が作ったの?
5)読まれる詩や小説って時代背景に影響されたりするの?
などといった、漠然とした疑問に答えを示さんとしてくれています。
ただ前提として、著者自身が、小説や言葉には限界があるという見地に立っているので
「僕自身よくわかっていないのですが」というエクスキューズも多い。
そして、引用する小説についても、引用する理由や、作品が書かれた背景など
付随する話題をどんどん展開し脱線するので、何についての話だったか
読者だけでなく著者本人も忘れてしまうこともしばしば(^ー^;)。
読み終わって、平安時代や江戸時代の作品が文学史上で位置づけられる
のと同じように、近代小説がどのような役割を担ったと位置づけられるのか
非常に楽しみになった。同時に私の中で、近代文学史をもっと知りたいという欲求が芽生えた。
小説の別の楽しみ方を教わったような気がする。