この本の内容を他人事と思える人は幸せだと思う。
低賃金労働に従事するアメリカの下層の人々の話しだが、日本もアメリカ式賃金形態に「改革」して以来ワーキングプア層は増えているそうだ。
実際にはすでに日本でも10%が仕事についていても生活保護以下の暮らしをしている。
10%と言えば10人に一人の割合で、けして少なくはないのだが彼らの生活がマスコミで取り上げられることは少ない。
アメリカでも日本でも、テレビは弱肉強食の戦いに勝った上位10%の人達の華やかな生活だけを繰り返し流し続ける。
「あなたも努力すればこんな生活ができますよ」というメッセージを繰り返すが、努力してもそうなれなかった人、そもそも努力のチャンスすら与えられなかった人のことは誰も興味をもたない。
この本に出てくる人達は決して甘えん坊でも怠け者でもない。
むしろ甘えん坊や怠け者が悲鳴をあげて逃げ出すような過酷な労働に耐えている。
「自己責任」という言葉が本来の意味を超えて、弱肉強食を全面的に肯定する言葉になり、弱者救済の議論をストップさせてしまう。
描かれることの少なかった現代資本主義の闇をえぐった秀作。