作者初の長編シリーズということで若干の気負いもあったかと思われるが、概ね上手に纏めたのではなかろうか。前巻で決着したかの厄介事が実はまだ鎮火しておらず、これに加えてヒロインの素性にまでおよぶ展開となっていくのは良かったと思う。最後の土壇場でややグダグダっとした感が無きにしも非ずだったが、まぁ、理想的な幕の引き方であろう。欲を言えば、対抗ヒロインと軽く修羅場るくらいの回り道があっても良かったように思うが、特にシリーズとしての後半がメインヒロインの過去と現在と未来に寄っていたので致し方ないところか。作者がこれまで多数描いてきた短編でも見られた読後感の良さが本シリーズにも同様にあったので、全体としても良い作品だったと思う。
しかし、主人公が貞操観念的に「いい男」過ぎたことが本巻でも災い(?)して、官能要素がメインヒロインのみとなってしまったのが返す返す勿体ない。ピュアなラヴを貫く作風なのは重々承知するところだが、それでも少しは「摘み喰い」要素を盛り込んで背徳感も醸してほしかったところである。
余談だが、作画が少し変わってきたように思った。