テレビがつまらないとよく言われますね。
構造的に広告媒体としてのビジネスモデルが破綻に向かっている的なお話しが多いようですが。
私は、しかしながら、テレビがつまらなくなっているのだとしたら、それはナンシー関がもうテレビを見
ていないからだろうと思います。
そんな彼女の単行本未収録だったりしたコラムやエッセイ、他の著者の出版物によせた解説文
などを発掘・再編集した一冊です。
絞り込んだ言葉の選択に改めて驚かされます。
「けしごむ偉人伝」など、そのトピックでそれに言及するかという快感に満ちています。
言葉の連なり自体が「芸」として堪能できます。
って書くと薄い感じがして自分でも嫌ですが、どうやって伝えたものか困惑中。
もうひとつ、古い原稿が発掘されているので、特定のエッセイで前提とされていること(番組とか有
名人とか)が、すでにわからなくなっているようなものもいくつか。
それでも笑えるのが彼女の文章のすごさでもあるし、また、ある種の世相史、風俗史としての価値
も有しつつあるのではないかと。
いろんな業界(含むアカデミズム)で、80年代の世の中の浮かれた仕事の仕方が、負の遺産として
いまだ強い腐臭を放っていると一部で嫌悪されていることを知らないわけではありませんが、それでも
80年代はナンシー関を産んだだけでも、文化史的には肯定できるかと。
ナンシー関については、かくも研ぎ澄まされた仕事をしていたのだなと実感できる一冊です。
笑って、そして最後にもう一度、ああ本当にもうこの得難い見巧者はいないのだなと実感して涙します。