ナラ・レオンが亡くなった1989年は、ボサノヴァ生誕30周年ということで盛り上がった直後だった。「生きたボサノヴァ伝説」の一人がなくなったといわれたが、それ以上に私は、小さいけど大切な宝石を失くしたような寂しさを覚えたものだ。
ナラは、形だけの保守主義、軍事政権による独裁政治、有名人に対する誹謗中傷、そして病魔と闘った。
ある面では確かに強い女性だった。
けれども、この本を読むと、CDで聴く歌声と同様にナラはあくまでも徹頭徹尾、美しく生きたことがわかる。別の言い方をするなら、美しく生きるというのはナラのような生き方のことなのだと教えてくれる。
ルイ・カストロの著書で紹介済みのエピソードと重なる部分もあったが、ひとつのことが別の視点で語られているところが興味深い。