ナラティヴ・セラピーの具体的な手順を知るには、本書が一番!!逆に言うと、本書以外でナラティヴ・セラピーの具体的手順が書かれた本にはお目にかかったことが無い。
日本の文化的土壌を鑑みれば、本書の記述通りに面接を進めることは明らかに不可能である。例えば、日本の臨床場面で実際にクライエントのアウトサイダー・ウィットネスになってくれる人などいないだろう。その他にも、日本とオーストラリアの文化差を感じさせる記述は多い。しかし、外在化やユニークな結果の発見など、日本でも使えるナラティヴ・セラピーの要素は沢山ある。文書や手紙を用いることも可能だろう。
訳者の小森康永氏によって書かれた「あとがき」も参考になる。訳も非常に読みやすい。臨床家の皆さんに是非お勧めしたい1冊。
なお、本書の指す“ナラティヴ・セラピー”とは、ホワイト&エプストンによって開発された狭義のナラティヴ・セラピーである。広義のナラティヴ・セラピー(ホワイト&エプストンの他に、グーリシャン&アンダーソンやアンデルセンなどの手法も含む)ではないことに注意されたい。