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25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
主題とは別に、これかなり実験的な作品ではないだろうか,
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レビュー対象商品: ナラタージュ (単行本)
読み始めて十数ページで違和感を持つ。平凡な情景描写、陳腐な会話、凡庸な話の展開。でも何かがひっかかる。半ば位まで読み進めて気づくのは、この作品が小説の約束事、セオリーといったものを逸脱しているのではないか、ということだ。それも多分意図的に。 登場人物は一応色分けされているものの、みな堅実で、礼儀正しくて、性善説でモラリストといった範疇に収まっている。「小説世界」みたいなものを前提として、この作品を読み始めると、人物たちが薄味というか、ほんとフツウに居そうな人ばかりなのだ。そして話の展開も。あえて小説に登場させるような人たちなのか?小説として語るようなことなのか?といった違和感をこの時点では持つ。でも、「じゃあ小説って現実とは違うワケ?」っていう逆の疑問も頭に擡げながら。 フツウな感じ、ということで言えば人物像をステレオタイプにわざと描いていない、という点もそうだ。例えば小野君のCDの趣味。ネイティブ・サンにシンディ・ローパーにヨーヨー・マにロッド・スチュアート!普通の小説だと、こういうCDの趣味が人物像を表現したりするけど、このつかみ所のない趣味からは人物像を類推出来ない。でも、意外にこういう取り留めのないCDがラックに混在してたりするのが現実世界じゃないかって気もしてくる。 他にも初エッチに持ってく夜にあえてギョーザを2人で作って食べたりとか、従来の小説ではありえないけど、現実にはありそう!っていうようなシチュエーションが随所に見られて、前半は話の本筋ではなく、そっちのほうに頭がいってしまう。 ところが後半3分の1くらいからの反転ぶりがこの小説はすごい。性善説でモラリストでフツウだと思ってた人物達が、表面的な関係性が一線を越えた瞬間から、思いっきり、心の闇、不安、弱さ、邪悪さみたいなものを見せ始める。従わせる愛、束縛する愛、尽くす愛っていう従来的な恋愛観に対する“与えること、頼りにされることで自己を確認する無償の愛(長いけど)”ってなテーマも姿を現す。 前半、後半でこれだけ表情を変える小説も珍しい。とりあえず最後まで読むことをお勧めします。まあ、この小説の実験性に対する評価と、最終的にこの小説の主題、世界観に共鳴出来るかどうかってことは、まったく別のことだとは思うのだけど。
53 人中、45人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
男性嫌悪の物語?,
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レビュー対象商品: ナラタージュ (単行本)
中盤までは、少女小説めいた感じで今ひとつ乗れなかったが、後半、小野が壊れ出すあたりからの緊張感に思わず惹き込まれ、 クライマックスからラストまでは「これぞ恋愛小説」という感じで、 読後感はそれなりに悪くなかった。 ただ、読み終わってしばらく経った段階で、 他のレビューを見ながら内容をつらつら思い返してみると、 (葉山先生みたいなダメ男のどこがいいのか理解できない、とか、 小野君のほうが全然萌える、みたいな意見が多かった気がする) こういう言い方はやや穿ち過ぎのように聞こえるかもしれないが、 この話の底流には、根強い男性嫌悪が滲んでいるように思えて仕方がなかった。 何事にもそつがない小野のことを たしかに好きだと思ってつき合い始めた泉が、 セックスの際に小野が見せる意外なまでの攻撃性に戸惑い、 強い違和感を募らせていく過程が描かれた後で、 柚子が暴行事件を苦に自殺を図るという挿話が差し挟まれ、 激昂した泉が、「犯人はまず去勢してから処刑すべきだ」と 葉山先生に向かって言い放つ場面があるのだが、 これは裏返しにするなら、泉が葉山先生に惹かれたのも、 彼からは男性特有の攻撃性が感じられなかったからだと言えはしないか。 (だとすれば、ダメ男なのがむしろ当然ということにもなる。) 考えてみると、演劇部の高校生とOB・OGという設定もあってか、 登場人物には文学部系のどこか植物的な人間が多く、 理系の学生である小野は結局そこから排除されてしまうわけで、 「他者」を排除した上で、似た者どうしがくっついているだけというのが、 泉と葉山先生の恋愛だと言うこともできるだろう。 とはいえ、恋愛とは得てしてそういうものでもあるわけで、 そのことは別にこの作品を貶める理由にはならないが、 男性嫌悪の物語として本書を読み解く批評があるとしたら、 ちょっと読んでみたいような気がしないでもない。
37 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
主人公に心が重ならなかった,
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レビュー対象商品: ナラタージュ (単行本)
主人公の工藤泉は婚約者と新居を見に来ている。そこでふと思い出した大学生のころのあの思い出。高校時代の演劇部顧問の葉山先生、そして演劇を通じて知り合った大学生の小野君。あの頃は子供だったから愛とは違うのかと思っていたけど、子供だったから愛していることに気づかなかっただけなのかもしれない…。最近マスコミが盛んに取り上げる二十歳前後の作家の中ではきちんとした文章が書ける人だなという印象がまずあります。途切れ途切れの感覚的なケータイ日本語を使っていない点は好感が持てました。 しかし、この主人公が恋する葉山先生と小野君はどちらも私の目にはひどく幼い人物に映りました。大学生の小野君は仕方ないかなとは思います。相手の女性の気持ちなどよりまず自分の欲望、という態度の性行為など、二十歳そこそこの学生はそんなものです。そこに若干の既視感を覚えないでもありません。 ことほどさように、この切なくほろ苦くあるはずの若い恋の物語は、私に擬似恋愛感を与えてくれませんでした。主人公とともに惑い悩みながら歩むこともなく、あまり魅力的ではない男性二人の間で揺れる泉を、私はただひたすら冷静に傍観し続けていました。 読了後、この小説で最も魅力的な言葉は実は冒頭の頁にあったのだということに気づきました。 *「エル・スール」の監督名はエリセです。エルセ(24頁)ではありません。
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5つ星のうち 5.0
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何度も繰り返して読んでいる大好きで大切な小説です。 何年たっても、私の中でこの小説の価値は変わっていません。... 続きを読む
投稿日: 10か月前 投稿者: なつ
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