戦後まもなくの「あの時代」、沖縄は今に較べて何倍も
元気だった…著者のこの思いが随所に散りばめられる、
ノンフィクションの傑作。
どう元気だったのかといえば、台湾や「日本」との間で
繰り広げられる密貿易で栄えた、ということ。そして、
誰もが手を染めていた(犯罪じゃなくて、生きる糧
だった!)密貿易のなか、数年間という刹那、異彩を
放った女頭領…それがナツコだった。
「日本」にも、アメリカにも捨てられた沖縄人。捨てられ
た者たちには、その者たちなりの気概と発奮があった。
麻薬には手を染めないことを信条としたナツコは、その時代
に駆け上がった。スリリング、あまりにスリル万点である。
おそらく、本作は、何年後かには映画化されるだろう。
ナツコの一生を再現する作業に、長きの年月を費やした著者
に拍手。奥野さんは、一作ごとじっくりと取材して詰める人。
こういった著者を、出版界には是非大事にしてほしいと思う。
部数はいかなくとも、確実に10年後も読みつがれるノンフィク
ション。
読後には、現在失業率ワーストの沖縄よ、いっちょやったれ!
との思いを強くする。これも、「本土」からの蔑んだまなざしかも
知れないとは思いつつ…。
(なお、個人的に、「日本」と米国に見捨てられた当初の沖縄で、
台湾と合同することが議論されていたことに眼をみはった!!)