山川出版の世界史教科書的リーフレット。90ページの小冊子にも拘らず、多くの示唆を頂いた。
ドイツ領土拡張政策と反ユダヤ主義とは、表裏一体であり、侵略戦争の大義名分が、ヨーロッパからの<劣等民族のユダヤ人>の排斥、非ユダヤ化であり、彼らの強制移住と、断種政策の究極が、アウシュビッツをはじめとするヨーロッパ各地の強制収容所におけるホロコーストにつながる。第二次世界大戦のドイツの侵略戦争は、ファシズム国家と反ファシズム国家という側面ではなく、人種間戦争であり、民族浄化闘争であると、ヒトラーは強調していた。これが、ヒトラーの大義名分であった。
また経済的には、脱ユダヤ資本主義であり、ユダヤ人の資産、富の収奪により、経済のアーリア化を図り、軍備拡張の軍資金に当てた。その結果、戦争経済の中でも、ドイツ本国の消費水準が維持され、一家に一台フォルクスワーゲンが所有でき、スポーツや旅行も楽しむことができると宣伝する。
ナチズムの現代性は、政府が、消費や余暇や、スポーツを国民に保証することによって、国民の支持を取り付けたところにある。
日本における、少子高齢化のキノコ型人口構成、青年の大量失業時代に鬱積する憤懣。擬制民主主義の自己崩壊。煽り国家主義の高揚。反中反韓人種差別意識の醸成。30年代ドイツ社会状況に類似し、ファシズムの菌糸は、日本国中、至る所に撒かれている。
ドイツにおける結婚資金貸与制度は、失業対策の一環であるが、同時に、優秀なゲルマン民族のカップルのみが対象であり、対極に、断種法という人種差別的な法律を制定する。同性愛者、精神的肉体的遺伝病を持つ者、劣等人種、ユダヤ人などの異人種との結婚を排除、抹殺する法律である。
日本の子育て支援金制度が、これ等の悪法に変質していく恐れは無いといえるか。