邦訳は2004年10月12日リリース。ナショナルジオグラフィック(National Geographic)は、ナショナルジオグラフィック協会の公式雑誌。創刊は1888年である。景観、歴史、世界の辺境に関する記事でも有名だが、記事と写真の掲載基準の高さでも知られている。その基準のため、同誌は世界的にも最高品質の報道写真を掲載していることで有名だ。また、デジタル写真への移行も迅速に行っている。2006年、ナショナルジオグラフィックは国際的な写真コンテストを開催している。
この本がリリースされた時期というのは、ちょうど200万画素クラスのデジカメが高級機として扱われていた時代で、1,000万画素なんて夢の夢みたいな感じの時代なのだが、かえってずっとフィルムに携わってきたプロのカメラマンがデジタル・カメラというものをどう捉えていたかが分かったりして面白い。
まず、前半を読んでいて感じたのはフィルム・カメラというのはまず、ISOいくつのフィルムを撮影に使うか、からスタートしているのだな、ということだ。つまりこれをデジタル・カメラに置き換えてみると、デジタル・カメラというのは初めからほとんどあらゆる種類のISOのフィルムが同時に入っている状態なのだ、ということだ。これはフィルムから考えると非常に凄いことだと再認識した。
つまり様々な種類の撮影チャンスに遭遇しても、カメラを変えること無く、ISOの違うフィルムを1枚おきにでも瞬時に写して残せるということを意味する。もしかしてこれが最もすごい武器なのではないだろうか。
もうひとつ思ったのは、偏光フィルタから始まってあらゆる種類の小道具の細かな説明が並ぶのだが、これってもしかしたら全部フォトショップで出来てしまうんじゃないか、と言うことだった。つまり、フォトショップには露出補正から始まって、チリを除去する機能のような小技かもあり、プラグインフィルタを使った大胆な変換まで全部できてしまう。RAWデータならなおさらだ。レイヤーを生かした多重的なアプローチも可能。と言うことで、フォトショップというソフトは事実上、デジタル・カメラの一部なのだと改めて思った。
つまりこの本の小道具はほとんどいらない。欲しいのはナショナル・ジオグラフィックのカメラマンがこういう状況ではどういう露出とシャッター・スピードの組み合わせを使用しているかに尽きると思う。そしてぼくのようにISO100の世界しか興味がない人間には、この本の155ページに出て来る一表だけでいいのかもしれないと思ってしまったのだ。
欲しいのはフィルムに携わってきたプロのカメラマンの撮影状況と露出数値とシャッター・スピードと光の方向だけかもしれない。そんなことを感じた一冊だった。