ブガッティ・ヴェイロン―価格2億円を超え、1001馬力以上を出す車―はスーパーカーを超えたスーパーカー“ウルトラカー”とも言うべき究極の車。その製造、だけでなく開発(の一部)にも迫ったドキュメントが本DVDである。
航空産業が大半を占めた高度な開発行程、価格2億円を超える美しいボディを精巧に作り上げるべくアトリエと謂われる手作り工場など、既存の自動車産業の枠をも大幅に超えた文字通りの「究極の車」ブガッティ。
…しかし、開発と製造とテストの話ばかりで、どんな人が買うのか「お客」の顔が見えて来ない。あくまでサプライサイドのみに絞った構成。フェラーリならばまだそれでも見る子供達を楽しませることは出来るが、ブガッティではどうか?
世界中の子供達の憧れであるフェラーリと違い、知名度という面ではあくまで20世紀初頭の超高級車を唐突に復活させたに過ぎないブガッティでは、まずどんなブランドなのか振り返る必要があったのではないか?もっとも、英語が原作の翻訳モノでヨーロッパではブガッティもよく知られたブランドなのだからだろうが。
逆に彼の地と違い自動車に無知で日本製の自称「エコカー」やミニヴァンしか買わない日本人ごときにしか説明の必要がないといえばそれまでだが、残念なことに所謂スーパーカーブームでようやくスーパーカーなるもの(のごくごく一部)を知るに及んだにすぎないスーパーカー世代も含めた無知な子供達には「何がなんだか解らないが凄い車」としてしか映らないのではないか。それでは物足りないし余りに勿体ない。スーパーカーは子供の憧れであるはずだがブガッティは違うのか?
「おー!ブガッティだ!!すげー!!!」と叫ぶ子供はヨーロッパにはいても日本にはいないのか?多分そうだろう。だからこのやや無粋で生真面目過ぎるドイツ的なドキュメントは明らかに子供向きではないのである。日本では大人でもブガッティを知る車好きは少ないからその面でも割を喰った感が否めない。このDVDを見れば兎に角凄い車であることだけは解るが、子供達は途中で寝てしまうかも知れない。同シリーズでもフェラーリの場合はウチの博物館で子供達にも見せてやればさぞ喜ぶだろうがコイツでは無理だろう。
見てるときは生真面目過ぎる内容からやや退屈だが、こんな凄い車があるんだという「社会勉強」ができるのは良い。問題は子供だけでなく大人まで途中で寝てしまいかねない所だが。そういうわけで以上の様な評価になった。
私はこのDVDを見て、この車の開発製造自体よりも買い主自体をネタにドキュメントを作ればどれだけ面白いかと思わされた。それならきっとフェラーリより面白いし子供達の社会勉強にもなるだろう。