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作家などではない、普通の人々が誰でも自分の中に持っている物語を掬い上げるというアイデアの素晴らしさは、編集まえがきでオースター自身語っている通りだが、ひねくれもののオレなどが想像してしまうのは、何となく感動的なちょっとイイ話だとかありえない偶然のような信じられない話だとか教訓的な話など、実はいかにもどこかで聞いたことがありそうな典型的な話ばかりが集められているのではないかという先入観だった(偏見なのだろうが、日本でならそんな本にならないだろうか?)。
ところが、ここに描かれている179(+1ってまえがきの話か?)の物語はそういった大げさな語りではなく、信じられないような話も多くあるが、その印象を譬えるなら、映画の中で筋にはあまり関係ないのだが印象に残っている1つのエピソードという感じなのだ。作家が想像して書こうとしても書けるものではない、繊細で細やかな一コマの風景なのである。大きく10のテーマに沿って分けられているが、どんな話が語られるのかは最後まで予想を許さない。こんな話がラジオにたくさん送られてくるとは(1年間で四千通)アメリカの懐の深さを感じないだろうか。要するに、「素晴らしい読書体験だった」などと月並みな言葉で表現する以外に、オレなどには言葉も見つからないほどの得難い本であったということだ。
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