この年末は佐藤優という人の著作に嵌っているところだ。本書もその中の一冊である。
まず 佐藤の博覧強記ぶりに驚くしかない。論点を説明するにあたって取り出してくる題材が ことごとく意表を突いたものになっている。対談相手の魚住昭が そのたびに驚きの声を上げている場面が むしろ楽しいくらいだ。正確に 対談で 魚住が「えっ?」という声を上げていることが そのまま「えっ」と書いてある。「えっ」という言葉が何度も書かれている対談集は小生は寡聞にして知らない。勿論 それは佐藤と魚住の「作戦」だ。相手の「作戦」には「乗る」 というのも一つの姿勢なのである。
僕としては大変勉強になったわけだが 一番頷いたのは最後の部分である。佐藤は言う。
「絶対に正しいものはあってもいいんです。但しそれは複数あるんです。しかもそれら複数の絶対に正しいことは権利的には同格なんです」
この言葉がいかに僕らにとって 難しいものなのか ということである。これが出来ないことで 一体 何百万人、何千万人の人間が死んできたことだろうか。