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本書の試みは、読者がナショナリズム思想を読んでゆくための道具箱をつくることにある。
なぜこのような道具箱が必要となるのか。
それは、ナショナリズムの言説は、たとえその内容がナショナリズムを否定するものであったとしても、行為としてはナショナリスティックなものとなってしまうからである。たとえば「日本は右傾化してはならない」という主張は、主語が日本となっている時点で、どうしようもなくナショナリスティックな主張なのである。
ふつう、対立する意見があった場合、良心的な読者ならば双方の意見を聴こうとするだろう。
ナショナリズム思想の場合、コレが危険なのである。
右であれ、左であれ、どちらも、結果的にはナショナリズムを煽ってしまうような言説なのだ。
これは、下手にはまってしまったら、ぬけられなくなるだろう。
うわさでは、ナショナリズムには<癒し>効果もあるそうだ。
本書は、読者がナショナリズム思想に溺れてしまわないために、有益な書物である。
まじめな、良い本である。親切な印象も受けた。
狙いが正しく、「名著」の選択が妥当で、各書の解説・批判も明快でおもしろかった。
五つ星を進呈するゆえんである。
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